Archive for 2007年7月31日

学会後始末

学会で知り合ったというか、電車の中で再会したミカエルから写真つきのメールがきた。嬉しいことに僕をプラハ中央駅まで送ってくれたヨゼフとのツーショットだ。辞書を引き引き返事を書きながら、ついでに知り合いになった研究者たちに写真を送付し、ふと思った。
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はじめてのプラハ

プラハの街は大きく3つに分かれる。まず到着した駅のある新市街地。68年のプラハの春や89年のビロード革命の舞台となったヴァーツラフ広場もこの地域にある。そして旧市庁舎を中心とする旧市街地。さらにヴルタヴァ川を挟んでプラハ城のある地域。人口密度の高さは旧市街地、新市街地、プラハ城付近の順という具合だが、いずれにしても観光客が多い。着いたのが土曜日ということもあって夜遅くまで(というか翌朝まで)街が喧噪に包まれている。しかし歩き、地下鉄に乗る限り、安全な街という印象を持った。事情通の友人の説明によると「プラハは観光に力を入れているので、警官が浮浪者を排除する権限を持っている」そうだ。確かに至るところに制服警官がいる。
前準備の通り、共産主義博物館が印象的だった。今回の学会でも東欧諸国からの発表に「共産主義と宗教」というテーマが目立ったが、「共産主義」自体が博物館入りしたり、発表の対象(しかも議論の中には「宗教としての共産主義」というのもあった)になったりするご時世なのだ。
共産主義というか、学生運動を宗教というか祭礼としてとらえる見方自体は、日本では珍しくなく、70年代初頭にすでにそうした風潮はあった。しかし東西冷戦の終結から約20年も経つと、研究対象としての「共産主義」ということのようだ。『現代宗教事典』で僕が執筆した「共産主義と宗教」も、そんなにピンぼけではないようだ。
さて共産主義博物館自体は、当時の共産党プロパガンダと、それとはかなりかけ離れた庶民の生活の展示、そしてプラハの春とビロード革命との対比の展示が興味深かった。狭いスペースに、レーニン像やスターリン像などが雑然と置かれているが、チェコ現代史博物館としての意義もある。紹介してくれたI夫妻に感謝!

「旅は情け」とはよく言ったもんだ

疲れもとれてドレスデンからプラハ行きの特急に乗る。一本前の電車がクラシックなもので多くの「鉄ちゃん」が写真を撮っていた。「オタク文化」に国境はない。
特急が出発すると、すぐにパスポートチェックがあった。新米を引き連れた強面の係員だ。
係員「で、どうなっての?」
弓山「え〜あの〜、、ブダペストに行くんで、、、」
係員「どっからドイツに入ったって聞いてんだよ?」
弓山「ライプチヒです」
係員「じゃぁパスポートに何でその記載がないんだよ?」
弓山「え、あの、その、、、」
新品のパスポートを見ると、確かに成田出国の検印しかない。さてどるなる?

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独りエクスカーション

学会、特に国際学会にはエクスカーションというものがついている。今回は僕らのセッションの終わった直後に短いエクスカーションがあって、その他、28日からドレスデンへのプログラムがある。両方ともスケジュールの関係で参加できないので、27日は独りでドレスデンへ行ってみることにする。ライプチヒから特急で1時間だ。
特急に乗り込んで判ったことは、、、

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市長レセプション

26日は昼から3つのセッションに参加する。一つは言語別の部会で、「日本語」部会にでる。時間になっても、いるのは2名だけ。お互い初対面なので自己紹介などを「日本語」で行う。その後で3名の日本人と1名の中国人が合流。言語は「英語」に。上海から来た先生と新顔の院生を中心に1時間ほど懇談して一緒に昼食。上海の先生が抜けたので再度「日本語」部会となる。
昼食後は「spirituality and religiousity」の部会で2つの連続セッションに参加。いろんな意味で勉強になった。この部会、オーガナイザーが立派な方で、常に聴衆の参加を煽りつつ、司会を進める。例えばフランス語の発表には自分が英訳をするとか、2人の欠席の穴を埋めるべく人員を配置し直すとか。第一と第二のセッションの間は、みんなをカフェに誘い、そこで質疑応答の続き、僕は唯一の日本人だったせいか、「霊性」とスピの関係などを聞かれたりした。
セッションが終わった後は、市民ホールで市長さん招待のレセプション。要するに飲み会だ。ジュリアと彼女のご主人、ヘイランと懇談。セッションで知り合った陽気なスリランカ人が呼ぶので行くと、そこに台湾やベトナムのあんちゃん、そして昼の上海の先生が参加してきて、何だか怪しいアジアン・ネットワークとなった(写真)。
こうしたパーティは、僕のばあい、ややもすると手持ちぶさたになってしまうのだが、あっという間に楽しく1時間ほどが経った。その後、エリックを見つけて次回の大会の打ち合わせを行う。内容は「現代巡礼」で、エリックがノルウェーの若者の事例(彼はそうしたTV番組の制作に関わったことがあるそうだ)で、誰かがジム・モリスン詣でかプレスリー詣でを調べ、僕が日本のお遍路をやることに。また楽しくなりそうだ。
で、昼に自己紹介をしあったベルギー在住の新顔の日本人とそのフィアンセ、パリ在住の日本人のお寿司屋さん、日本在住のポーランド人という顔ぶれで記念撮影をしてお開き。有意義な2時間だった。
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第二セッション終了

25日11:30から第2ラウンド。今度は僕が司会だ。聴衆が5名前後で少ないが、司会としては緊張が解けた。マニュエラが欠席なので、発表はカッシーとジュリア。2つともかなり事例から抽象的な議論を展開している。質問が途切れたら欠席者もいるということで早めに切り上げるつもりでいたが、かなり積極的に質疑応答が展開され、ほぼ2時間を使い切った。かなり細かい質問も出された。僕は気の利いた采配ができた訳ではないが、無事に司会も終了。
ところで、今回、第一・第二セッションを通じての一番の発見は、世界観の問題としてのスピリチュアリティということだろう。ルックマンとともにシュッツ再評価をしているエリックのコメントを得て、俄然、研究の方向性と問題意識が研ぎ澄まされた気がした。スピリチュアリティは、人間の問題であり、認識の問題でるのだ、と。
会場にいたガブリエルが、物静かな彼らしくなく、やや興奮気味に質問していたことも同じ課題に関してだ。これから何かコーポレーションができるのだろう。ヘイランやジュリアといった「同志」を得たことも今後の研究の大きな弾みになるに違いない。
ということで記念撮影。ヘイランが「日本人のお決まりね!」と悪態をついていた。写真は前方がコーディネータのカッシー。後方左からマサ、エリック、弓山、ヘイラン、ジュリア。
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第一セッション終了

25日8:30。会場に到着するが、人はまばら。セッション会場の教室はカギがしまっている。8:45ごろカギがあけられるが、教室に入るのは主催者だけ。9時の開始の数分前になって、ようやく数名の聴衆。5分ほど発表を遅らせ、5、6名の聴衆が集まったところで開始に踏み切った。
カッシーの司会。「心のノート」を中心に公立学校におけるスピリチュアル教育の可能性を問う僕の発表あたりで10名ほどが来場。その後で出たり入ったりしたが、常時10〜15名ほどの聴衆がいた。主催者側を除いて、のべ20名というとこだろうか。ヘイラン、マサと発表が続き、エリックのコメント。黒板を使ったレクチャー方式である。そしてフロアーからの質問。常に手があがり、活発な意見交換となった。
僕に対する質問は3つで、エリックからは「heart」に関するもの、ジュリアからはバラバラな教育状況をどう一つ高いレベルで統合するのかということ、ヘイランからは靖国に関して。
これはセッション全体に関わることなのだが、エリックのコメントは現象学や認識論に基づいていて、つまりスピという新たな地平が切り拓かれた今、身体や心理といった従来の自己認識なり人間把握にどのような亀裂や統合が生まれたのかということ。僕への質問もそう簡単に、日本語でも、答えられるものではない。
靖国の質問は事実関係だが、エリックには日本で「心の時代」といったばあい、宗教的な意味の心理学的な意味があって、前者から後者への移行があるといったことを述べた。認識論的な話は、ちょっと後に回してくれとも。ジュリアへの質問に対してしどろもどろに。隣のマサが助け船を出してくれたが、即答ができなかった。いくつか質疑が進んだあたりで、知識教育と道徳教育には深い溝があり、それを埋めることは困難で、一部には宗教情操教育によって克服できるという主張があるが、それは無理で、スピリチュアル教育へ期待したいということを述べた。ふぅ、、、
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国際学会での日々

小さな街なので、歩きやすい。23日に受付を済ませ、本部企画に顔を出す。旧共産圏らしく、宗教と政治や教会出席率についての報告。スピリチュアリティに関する報告もあった。その後は懇親会。
隣に座ったルーマニアのガブリエルとお友だちになる。首都のブカレストからじゃなく、ハンガリーのブダペスト経由で来たというダジャレみたいな話をしていた時に、ふと友人から「SISRに行ったら、ブダペストの何とかという人に挨拶を」と言われたことを思い出す。聞いてみると、まさにその友人のことを知っていて、挨拶すべきご当人であったことが判明。こんなことってあるんだな。
24日は同じセッションのヘイラン、エリック、ジュリア、カッシー、マサと打ち合わせ。今回、初めてお会いするヘイランもジュリアも、とてもいい人なので、よかった。大衆のセッションに出てみる。宗教と大衆文化との関係は、(a)教団による大衆文化(漫画とか音楽)の利用、(2)大衆文化における宗教的側面、(3)宗教になった大衆文化(プレスリー参りみたいなやつ)。that’s all
うーん、こんなんでいいのか? それなら僕が『現代宗教事典』に書いた「アニメと宗教」の項目の方が、もうちょっと緻密に分類していなぁなどと思いながら、ゲーテや森鴎外が通ったというアウアーバッハス・ケラーでザクセン料理と食し、ビールを飲む。
明日の朝から僕らのセッションなので、酒は控えめ。かなり緊張しているので、ちっとも疲れを感じない。
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Spirituality vs. Religion in global contexts

いよいよセッションだ。
この学会には2001年(メキシコ)に参加だけして、03年(トリノ)、05年(ザグレブ)と発表をしているが、いつも大変、緊張する。もちろん英語の問題もあるが、それだけではない。
前回は聴衆と一緒にスピリチュアリティについて考えたというセッションになり、大変気持ちが良かった。今回はエクスカーションの日の午前中ということもあって聴きに来る人がいるのかという心配がある。しかも今回は2コマ4時間という長丁場だ。そして初めて第2部の司会もつとめる。発表はネイティブ見て貰ってきたが、司会の方はネットで「英語で司会」みたいなサイトのURLをひかえただけで渡航となった。しかも第2部ではドタキャンが一人、2人の発題で2時間もつのか?
セッションはこんな感じ。
■SESSION48/1
 Chair: Naoki KASHIO (Keio University, Japan)
・Spirituality and morality: the view of life in Notebook to be used by students in moral education in Japan
YUMIYAMA, Tatsuya (Taisho University, Japan)
・Globalization and Nationalism: Two Ideological Vehicles of a Korean Meditation Enterprise “Dahn Yoga”
WOO, Hai Ran (The Catholic University of Korea, South Korea)
・Spiritual but not Religious?: Ashtanga Yoga Practitioners’ Beliefs and Practices
ITO, Masayuki (Aichi-Gakuin University, Japan)
Discussant / Rapporteur : Gustav Erik Gullikstad Karlsaune (The Norwegian University of Science and Technology, Norway)
■SESSION48/2
 Chair: Tatsuya YUMIYAMA (Taisho University, Japan)
・Spirituality vs. Religion in Italy: the case of Soka Gakkai
FOIERA, Manuela (University of Warwick, UK)
・Emergence of Spirituality: The Case of Mahikari in France
KASHIO, Naoki (Keio University, Japan)
・Disenchantment, Re-enchantment and the Globalized Politics of Religion in Southeast Asian Islam
HOWELL, Julia Day (Griffith University, Australia)

ライプチヒ大学

23日から大会が始まった。会場はライプチヒ大学。ドイツでは3番目に古い大学(1409年)で、心理学者のヴントや哲学者のブロッホ、メビウスの輪のメビウスらが教鞭をとり、森鴎外が留学したところだ。旧東ドイツでは、カール・マルクス大学と呼ばれた。
街中にいろいろな施設や学部が点在するので、会場を探すのが大変だ。トーマス教会、ニコライ教会に寄りながら、大会の受付会場を探す。学生街の一角にようやく会場を見つけ、受付を済ます、、、、とはうまくいかなかった。受付の人に「あなたを知ってるわ」と言われて「俺も有名になったものよ」と、喜んでいたら、何のことはない学会費未納のくせに発表申し込みをしてきた不届き者の名簿(まぁブラックリストですかね)に名前が載っていたのだ。
つまり大会申し込みはしたものの、学会費を払っていなかったので、その場で学会費を支払い、大会申し込みを再度することに。こうした書類はメールで来て、プリントアウトして、書き込んで、航空便で送り返してと面倒で、いつも後回しにしてしまう。反省、反省。写真は、書類書きから解放された直後。
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