イタリア日記(5)

フィレンツェから電車で2時間半。ペルージャなどを通り、アッシジに着いた。言うまでもなく聖フランシスコゆかりの地である。ローマやフィレンツェと違って、のどかな田園風景がすそ野の広がるスパズィオ山の中腹に、その聖地はあった。ホテルはサン・フランチェスコ聖堂の正面にあった。部屋から聖堂が見える。ロビーは無料の無線LANが完備だ。
さっそく細長い街を北西の端の聖堂から南東のサンタ・キアーラ教会に向かって歩いてみる。途中、パンテンオン風の建物があった。ミネルヴァ聖堂だという。ここはフランシスコ会の本山であるとともに、古代ローマ時代から栄えていたことを忍ばせる。
お土産や飲み物を売る小さな店とホテル兼トラットリアが並ぶ、いわゆる門前町だ。日本でいうと成田山に非常に近い。途中、世界各国から訪れる参拝者からどれだけ多くの種類のコインをユーロと交換できるかというゲームをしている子供たちの一群に遭遇し、三度ほど、日本円コインをせびられる。10円玉3つが、1.20ユーロ(約200円)に変わった。もっと来ないか子供たち。


街は夕方になると静かだ。ローマとフィレンツェを回ってきたから、特にこの静けさに、ほっとする。夕方の8時(まだ明るい)になると街の主だった教会が一斉に鐘を鳴らした。スパズィオ山にこだまし、荘厳な雰囲気に包まれる。
夜はウンブリア州の郷土料理を食べる。豆やトマトのブルスケッタ。パスタはまさに野沢菜スパゲッティ。メインはフランシスコの名を冠したものを注文。でてきたのは粒こしょうのきいたミンチ肉。野趣あふれる味を、ワインとともに食す。地元のワインは赤よりも白の方が美味しい。
ほろ酔い気分でホテルに戻り、窓を閉めようとして聖堂を眺めると、何とも幻想的な感じだ。100メートル弱の左右の回廊と聖堂がライトアップされて美しい。なぜかモダンアート風のモニュメントが配されている。時折、どこにでもいる無軌道な若者が奇声を上げているほかは、まったくもって静寂そのものだ。

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