大庭健・鐘ヶ江晴彦・長谷川真理子・山崎カオル・山崎勉編著『ゆらぎ』(シリーズ【性を問う】5)、専修大学出版社、1998年

 自然科学と社会科学、アカデミズムとジャーナリズムを交錯させながら、性の問題に関わる多彩な執筆者によって織りなされたシリーズ『性を問う』が、「原理論」「性差」「共同態」「表現」に続き、この第五巻をもって終結した。
 ゆらぎ―それは自明とされきた男と女、異性愛と同性愛、さらには正常と異常という区分の崩壊を意味する。性転換による性の越境、インド文化圏における男でもなく女でもない「第三の性」の存在とその宗教的役割、ゴリラにもみられるという同性愛の生物学的な解明。本書は性差が固定したものではなく、振幅に富み、可変的なものであることを示してくれる。これまでのセクシュアリティに関する議論の整理や各章に読書案内もあり、役にたつ一書である。
 性暴力とエイズに関するかなり実践的な論考二本が含まれていることも特筆すべき点である。被害や差別を受けた者が、その不当性を訴えようとすればするほど、深く傷つかなければならない構造。現場からの告発は直接的な加害者だけでなく、こうした構造を維持し、再生産する私ちの性意識にも向けられているといえよう。
 ここ数十年の性に関する研究と実践の成果は、当たり前とされてきた社会構造や判断の基準が絶対的でないこと、つまり「ゆらぎ」があることを突きつけてきたし、これからもそうあり続けるだろう。本書は魅力あるシリーズの最終巻にふさわしいタイトルと内容である。

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  1. 性感マッサージで極楽な時間を

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