参考文献一覧を作ろう

資料がないとか、参考文献が見つからないとか、、、、もう言わせない。


1、なぜ参考文献一覧を作らねばならないのか

 高校まで諸君が慣れ親しんできた感想文と大学のレポートや論文との違いは、自分がやろうとしているテーマに先立つ研究(これを先行研究と言う)を参照するかどうかにあります。言うまでもなく前者にはそれがなく、後者には必ず先行研究への言及やばあいによっては一覧表が必要になってきます。それは具体的にはレポートや論文の最後の参考文献一覧という形にあらわされ、教員はまずそれを見るといっても過言ではありません。では、なぜ先行文献の参照が必要なのでしょうか。



(1)レポートや論文は過去の業績の積み重ねの上に成り立つから

 説明は要りませんね。そのものずばりです。人類の知的進歩(何か笑っちゃいますね)は先人たちの業績の上に営々と積み上げられてきました。諸君の知的営為も独りよがりであってはいけません。自分が解明しようとしている事柄に対して、過去どのような研究があったのかを知ることは、レポート・論文を執筆するうえで当然のことです。



(2)レポート・論文執筆のスタイルを学ぶため

 分野によって微妙にレポートや論文における論証方法や書式が異なります。注の打ち方や参考文献の表記も同様にいくつかのパターンがあります。参考文献を集めて読んでいくことは、そうした執筆スタイルを学ぶことにもなります。モデルとなるような論文を見つけることができれば、とてもラッキーです。





2、先行研究の見つけ方

(1)手がかりを掴む辞典類


 さて、参考文献を見つける手がかりとして百科事典は意外と馬鹿にできません。平凡社のものは情報量が多く、また専門別に分かれていて使いやすいです。また日本の歴史関係だったら『国史大辞典』が平易な表記と参考文献の明記があってお奨めです。辞典の巻末には参考文献一覧が筆者別・項目別にまとめられていて、しかもそれらは多分、選び抜かれた定評のある文献であるので、きっと先行研究の探索の端緒となるでしょう。



(2)もう一歩進んで

 辞典の巻末に載っているような書籍は、きっと図書館に行けば見ることができるでしょう。しかしそれらはあくまでも先行研究の一部でしかありません。もう少し網羅的に文献を検索するには、「書誌」という分野に立ち入らなければいけません。

 この「書誌」は図書館でいうと大抵カウンターの近辺にある「本を検索するための一群の本」のことを言います。本といっても今はほとんどがネット上で検索できるようになっています。本当に便利な時代になったと思います。



 まず単行本を探すには、国立国会図書館の書誌検索がいいでしょう。ネットでトップページから入ることができます(検索ページのURLは毎日変更される)。日本で出版された本は原則的に全て国会図書館に納めることになっているので、最も網羅的に検索ができるはずです。ただしこれは明治以降の日本語の図書です。

 それ以前の文献で慶応3年までに日本人によって書かれた図書の所在地を記したものが『国書総目録』です。上記の図書館カウンター付近にあるでしょう。

 全国的な大学図書館の総合目録として国立情報学研究所の総合目録データベースWWW検索サービスがあります。文献を検索すると、それを置いている大学名がずらーっとでてきて、しかも請求記号付きです。

 図書館から書店に移りましょう。現在、書店にて購入可能な書籍の総目録として、『日本書籍総目録』があります。また、紀伊国屋書店ジュンク堂など、大型書店のサイトは国内数百万件(紀伊国屋は海外200万件)の世界最大級の書籍データベースです。一部は会員制ですが、非会員にも公開(制限がある)されています。



(3)さらに、、、

 以上は単行本の在処を教えてくれます。しかし人間の知的営みのうち、一冊の本になるのはごく稀なケースです。その背後には、もっともっと膨大な量の論文や雑誌の記事が控えています。これらのうち、主に学術雑誌に収録された論文を探すには国立国会図書館の『雑誌記事索引』のネット検索を用います(このページも毎日URLが変わるので、トップページから入りましょう)。しかしこれはあくまでも国会図書館に収められ、所定の手続きを経た学術雑誌に所収された論文に限られています。なお、この学術雑誌がどこの図書館にあるかを調べるには『学術雑誌総合目録』(和文編)があります。

 学術的ではない雑誌の記事を検索するばあいは『大宅壮一文庫目録』を用います。これはネット検索できません。目録を手に取り、テーマごとに検索することになります。ただし1988年以降はCD-ROM版になっています。





3、検索の妙

 先にも述べたように、書誌のかなりの部分がネットに移りつつあります。便利になった反面、検索システムをきちんと理解していないと膨大な情報量の前に呆然とするだけです。ですから「参考文献が多すぎる」と言うのは「私は物事を理解する力が乏しいです」と言っているようなものですし、「参考文献が見つからない」などとほざくのは、「私は無能です」と宣言しているのに等しいので気をつけましょう。

 さて、ほとんどの検索は複数キーワードに対応していますから適切なキーワードをスペースで区切って入力して文献を絞り込んでいきます。そのばあい、キーワードは柔軟に考えましょう。例えば「若者のアイデンティティ形成」というようなテーマでレポートや論文を書くばあい、キーワードは「若者」「アイデンティティ」だけはないですね。「青少年」「青年期」「自己同一性」「自我」、さらには「心理学」「エリクソン」など、自分のテーマがどういうキーワードに置き換えられるか十分に吟味しましょう。

 先行研究の検索によって適切な参考文献が見つかったら、その文献の注や参考文献一覧を見ましょう。そこに書かれている文献が、あなたのテーマと深く関わっているからです。一つの文献から、複数の文献を探し出すことができ、さらにそれらの文献から、もっと多くの文献が芋蔓式に見つかるはずです。

 私の友人には文献一覧を作ることを趣味としている人が複数います。読んでもいない文献をたくさん並べて悦に浸るのは気持ちの悪いことですが、「書けない」と嘆いている暇があれば、まず先行研究を探索し、文献をコピーしまくり、参考文献一覧を充実させてみてはどうでしょう。探せば探すほど文献は増え、コピーは溜まっていく、ある種の充実感が得られるはずです。



―と、ここまで読んだ学生諸君、僕はもう「参考文献が見つからない」とか、「論文が進まない」とかというタワゴトには耳を貸さないので、どうぞよろしく。もちろん検索上でわからないことは聞いてください。



―同業者の先生方。こんなページを作ってみました。「もっといい手があるのに、弓山は知らないんだな」ということがありましたら、どうかご教示ください。

3 comments

  1. おもしろいブログを久しぶりに拝見させていただきました

  2. SM 神奈川 より:

    ずっと続けて行って下さいね

  3. 出会い より:

    楽しいブログをありがとう!

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