映画キッズ(5)

先週、中学校の同窓会があって、級友と当時の話になり、「映画について熱く語ったよな〜」という話になったり、同窓会後に、僕のブログにある、映画を見始めた十代前半の回想を綴った名エッセー(映画キッズ【1】【2】【3】【4】)への感想をいただいたりした。考えてみると、このエッセー、あと日本の独立プロについて、そして名作見まくりについて書かなくてはならなかったのに、そのまま放ってある。この2つにいく前に、少し(1)〜(4)をふりかえっておこう。


■ちらし集め
ブログを見た学生がどうしても理解できないというのは、「映画キッズ(1)」で書いた映画のちらし集めだそうだ。映画館に置いてあるちらしをもらうのは判る。しかし配給会社に中学生が尋ねていくというのが大胆というか、信じられないというのだ(フン、そんなことだからインターンシップ先も見つからんのだよ)。
思い出す限りだが、当時のちらし集め(有楽町編)はスバル座から始まり、日比谷、そして国鉄の高架をくぐり、泰明小学校のところに出る。そこにまずCIC(Cinema International Corporation)があった。「こんにちわ〜」とオフィス(考えてみると外資系なんだな)に入ると、僕ら映画キッズに社員が手渡しでちらしをくれる。社員は迷惑そうだったな。ここから日劇(今はない)周辺にある映画館をまわり、銀座3丁目だったかのプレイガイド(チケット販売所だな)の上に東宝東和があった。ここは愛想がよく事務所(オフィスという感じではなく、本当に事務所)に入るとカウンターがあって、ちらしが置いてある。
銀座の中央通りを京橋に向かい、テアトル東京・テアトル銀座(これもない)に寄って、昭和通りを銀座方面に戻り、築地に行く。築地警察署のそばに20世紀FOXがあった。
■20世紀FOX
ここは映画キッズにとって、とても重要であった。前にも書いたように、ちらしの売買を行っているからだ。しかしライバルである他の配給会社で「もう要らないよ」と一〆(1000枚)単位で貰ったちらしを1000円で中学生から買い取って、60円だか、80円だかで売って、よかったんだろうか。確かにFOXの宣伝部で取引されていたが、売買は別会社になっていたのかもしれない。前述のCICや東宝東和はサラリーマン然とした皆さんが精勤されていたが、FOXは何だかジーパンにTシャツみたいな格好のあんちゃん、ねえちゃんが「働いていて」いた。一応、僕らはお客さんというか、取引相手だから、けっこう親切に扱われた。もっとも取引は玄関の下駄箱の上だった(宣伝部自体、マンションの一室にあった)。
「映画キッズ(1)」で宣伝部のお姉さんに気に入られたというようなこを書いたが、その後、発展はあったのかという質問もいただく。ちらしの販売は、隔週程度で更新されるリストから映画タイトルを選び、お金を払い、翌週に取りに来るといったもんだったと記憶している。国鉄ストなのに、早くちらしを受け取りたくてバスを乗り継いで来た僕を、お姉さんは面白く思ったのか、「どうやって来たの?」「帰りの電車ないよ?」みたいな話になり、「あがっていきなさいよ」と言われたが、その時は恥ずかしくて遠慮した。後日行った時に、そのお姉さんが「この前ストの時に来たのは、この子よ」と同僚に告げ、コーヒーでもという流れで、この時は靴を脱いでお邪魔した。同僚の男性が、すぐに奥に引っ込んで(といっても広い部屋ではなかった)しまい、お姉さんと僕が食卓みたいなテーブルで向き合ってコーヒーを飲むことになり、「ちらし集めてどうするの?」「へー、映画会社で働きたいんだ?」「ウチに来てみる?」と、矢継ぎ早に質問され、えらく緊張した。「気に入られた」というより、からかわれていたんだろうと思う。
■その後
中学を卒業して、ちらし集めもしなくなった。あんなに時間とお金をつぎ込んでいたのに、また見る映画の本数は、さらに増えたのに、不思議である。だが、当時集めたちらしだけは捨てられずに実家に保管されている。CICは、日本ではMGM(Metro Pictures Corporation)の映画の配給もやっていたので、MGM制作の「2001年宇宙の旅」をリバイバルしてくれるように、手紙だか、署名を送ったことがある(高校時代、僕は「2001年宇宙の旅」ファンクラブのメンバーだった)。その後、CIC自体もMGM同様に日本から撤退したか、どこかと合併したんだろうと思う。FOXには、一度だけうかがった、マンションの一室から、その時は何部屋も借り上げていて、ちらしも在庫があって即売をしていた。もちろん、あのお姉さんの姿は見あたらなかった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*