東日本大震災と宗教者

『中外日報』より、去る2月19日に(財)国際宗教研究所主催の公開シンポジム「無縁社会と宗教者」関連の記事執筆依頼があり、このシンポジウムのコーディネータと司会をつとめた者として、記事をしたためることとなった。シンポジウムの意図や議論の意義について、書いている3月11日に東日本大震災が起きた。以下はその記事(未掲載)の抜粋である。
震災直後からシンポジウムの登壇者や参加者からメールが届くとともに、宗教者でもある彼/彼女らの活動をインターネットを通じて知ることとなった。当然、教団の後押しや組織活動への編成がなければ、個々の力はか細いものである。しかし彼/彼女らの活動は、むしろ教団外のNPOやNGOともつながっていた。阪神・淡路大震災の時より活動している被災地NGO恊働センターや路上生活者の支援を行ってきたNPO法人のワンファミリー仙台仙台夜まわりグループなどが、こうした活動の受け皿になっている。また教団枠を超えた宗教者が集う支縁のまちネットワークや島薗進東大教授を代表とする宗教者災害支援連絡会の活動も見逃せない。
こうした支援の形が、例えば阪神・淡路大震災の時のそれと大きく違うのは、教団の本部や支部単位ではなく、個々の有志がtwitterやfacebookといったウェブサイト上のソーシャルネットワークを活用しつつ、力を結集している点である。先の震災の直後に本財団が開催したシンポジウムが中牧弘允・対馬路人責任編集『阪神大震災と宗教』(東方出版)として刊行されているが、ステレオタイプの比較が許されれば、本書で扱われた宗教者の営みが主に教団によって組織されていたのに対して、上記のソーシャルネットワークで確認される動向は、個々の宗教者が自覚的に他教団の同志との連携や教団外のネットワークを模索しているという意味で対照的にも見える。
さらに、こうした宗教者の個々の動きを支援し、これと連帯を志す宗教研究者のネットワーク作りも生まれ、「教団、宗派、をこえて、思いを、願いを、祈りを、安否の情報を、救援の情報を、活動場所の情報を、義捐金情報を様々なもの共有できたら」という願いから、筆者の友人である稲場圭信(大阪大)・黒崎浩行(國學院大)・樫尾直樹(慶應大)・Keiko Grace Koboriがfacebookに宗教者災害救援ネットワークを開設している。
震災の夜、筆者は勤務先の大学に宿泊することとなった学生を激励した後、前述のコミュニティスペースに寄って家路についた。午前一時頃、同じように都電の線路を歩く人々が声をかけあいながら帰宅する様子に、また無料で提供された携帯電話の充電器を譲り合いながら使う人々の行列が印象的であった。こうした助け合いの心と支え合いの営みに、宗教者の叡智と行動とテクニックがどう共鳴していくのか、見守りたいと思う。

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